矢尻のたとえ

あるソフト会社の会議室で、泥仕合が繰り広げられていました。製品にクレームを付けた客が金を返せと怒鳴り込んできたのです。

「なんでこんなバグが製品にあるんだ。ちゃんとテストしてんのか。」

怒鳴りまくる客の声は会議室にも届き、、出荷のための徹夜の連続でへばっていたところを叩き起こされたカンダダは力もなくいいました。

「この件は「機能上の制限」ということで、出荷期日を優先すると皆さんが合意したじゃないですか」

「ええっっ??、制限とは聞いたが、バグを「制限」と呼ぶとは聞いてないよ。」セールスマネージャーが言いました。

「品質を売り物にするキャンペーンが台無しだ。どーしてくれるんだ」マーケティングマネージャーが言いました。

「客の苦情を聞くのは、おれたちだ。サポートだからとぱかにするな」

よく眠っている連中に攻められて、カンダダは、反論する気力もなくただうつむくばかりでした。するとそこにオシャカ様がやってきました。

「もうかりまっか?」

ちなみに、オシャカ様は、人の心に直接語りかけるため、その声は、聞く人の心のイメージに従って聞こえるのです。

「なにをワイワイワイワイやっとるんや。おまえら」

「オシャカ様、だから、問題の経緯を」カンダダは蚊の鳴くような声で答えました。

「ええかっ、問題はこの客にカネを返さずに如何に黙らして帰すかや。カネがなかったら手形も落とせんのやでっ。」

「それはそうですが、バグを直すのもパッケージの回収にもコストと時間がかかります。」

「アホかおのれは!! 本質をみんかい!! こいつは、この客は何を求めておるっ。なんでバグごときでここまでくるんや。考えてみぃ。認知や、リワードや、つまりは認めてほしいんや。その上でちょっと得したいんやっ」

すると、見る間にオシャカ様は「プレミアムパートナーユーザー」なるカードを出現させました。そして、クレームの客にこう言われたのです。

「お客様。大変ありがとうございました。お客様のおかげで、製品の重大な問題を発見することが出来ました。感謝を込めて「プレミアムパートナーユーザー」に認定させて戴きたいと思います。そして、感謝の心を込めて、デジタルクラブスカパーセットと携帯電話を贈呈いたします。」

するとどうでしょう。客は満足したばかりか、四年も拘束があるデジタルクラブ申込書にすらすらとサインしました。こうして会社はスカパー代理店キックバックも手中に収めることが出来、その後、クレーム処理をプロフィットセンターとして分離し、バグが出れば出るほど儲かる会社として株式公開さえしたのです。

これをみてカンダダは、たいそう感心し、

「さすがに教祖になるようなやつは違うぜ」

とこころからオシャカ様にたいする信仰を深めたとのことです。