サイアスの書評を見て、即、八重洲ブックセンターで購入しました。対象は小学生高学年と思われますが、電車の移動時間などに読むには最適で値段も手頃です。でも、タガメのタマゴが孵る写真などは、キモチワルいですね。

内容はタガメのメスによって行われる「子殺し」の行動を、単純な原因仮説からの導出過程を観察を通じて検証していくことです。

ひところ、「同じ種族で殺し合いをするのは人間だけだ!ああなんて人間は愚かなんだ」というヒューマニストに対するアンチテーゼとして、高等生物の「子殺し」が話題になっていました。筆者は、水族館の学芸員をしている方で、子殺しの行動を昆虫で始めて確認し、博士論文としてまとめました。この本ではそれが見事に「研究のおもしろさ」を伝える児童書として仕上がっています。一つのことを突き詰めていくといろんな事実と因果関係が見えてくる過程が描かれており、興味をそそります。

おとなの読者としては、ほんの仮説を幾つか展開してみると楽しめます。

タガメのオスは、タマゴの保護行動をする。なんでするのか。

-> タガメのタマゴは、水をやらないと孵化しない。しかも、水草の上の方に産卵する。保護行動は基本的に水やり行動。

水をやる必要があるのに、水のないとこに産卵するのはなんでか?

-> タマゴは呼吸が必要。タガメは、仲間の虫に比べてタマゴが大きいために、水中では十分や酸素をとることが出来ない。しかも、タガメの仲間は、進化の過程でタマゴを蒸発から守るワックスが無くなっている。

 こうして次から次へと論理が展開されますが、ここから発展してタマゴの大きさの限界や、ほ乳類で可能となった大型胎児などへと考えが発展出来ます。

「なんでか」好きな人には是非お勧めしたい一冊ですね。