値上がり確実なハイテク株

投資の仕事をしていると「値上がり確実なハイテク株はないですかね」という質問を受けることがある。そもそも、「値上がり確実な株」と言って投資を勧誘することは違法であるから、投資を生業とするものが、「値上がり確実」というならば、それは詐欺であると考えてよい。また、株は「安いとき」に買って、「高いとき」に売る必要があり、買い時を教えて、売り時を教えないのは片手落ちになるであろう。

さて、そのような前提ながら、ナスダックのハイテク銘柄をSmall Cap も含めてデータとSEC 10-Qなどをみていると「これは明らかに安い」と思える銘柄を発見することが出来る。かつては実際に、そうして発掘した銘柄を昔の上司や知り合いなどに「割安な銘柄がありましたよ」と連絡したことがある。具体的にはESOFT (esft)という銘柄で、その時株価は2ドルであった。私はその時この株を買っていたのだが、教えられた人たちはたぶん誰一人として買わなかったはずである。なぜなら、安い株には安いなりの理由があるからで、安い株が高くなるには、市場の注目をあつめるなどで一年ほどの時間がかかることがある。

結果的に、一年後にはLinuxブームやIntelの投資があって、eSoft の株価は割高といえる40ドルまで上がっている。割高なので売ったのだが、売るときにはピークである確信はなかった。売りましたよとは連絡したが、たぶん、連絡を受けた人は、買うこともしなかったろうし、売ることもしなかったと思う。同じように、仕事で投資している会社も、無名で公開していない時期から「いい会社ですよ」と言っているが、なかなか信じてもらえない。公開して、驚くような株価がつくと、ようやく、「前に紹介してもらった会社どうなりましたか」と連絡が来ることもある。

結局、インターネットの時代になってから「インターネットの時代ですよ」といえば信じてもらえるけど、「割安な会社を割安と理解してくれるのは、既に割安な会社を割安と理解出来るヒトだけ」というトートロジーな結論で、つまりは、割安な株を聞いてくる人に限って、教えてもその株は買わないのである。