ブラックショールズ微分方程式

去年話題になったビジネス書に「ブラックショールズ微分方程式」がある。ちょうど、ヘッジファンドやデリバティブに注目が集まっており、変革期の金融界で取り残されることに恐怖を感じている銀行員などに売れたのではないだろうか。しかし、実際に読んだ人はガッカリしたろう。だって、その「ブラックショールズ微分方程式」そのものは、最後にちょろっと出てくるだけなんだもの。大筋は、微積分や微分方程式と正規分布、ランダムウォークの非常に簡略化した説明に終始しているのだ。

これとは別にデリバティブ設計用CADという製品も評価したことがある。なんのことはなく、Excel 上のマクロとプラグインなのだが、価格は100万以上なのだ。こういう商品は高ければ高いほどよい。わけわからんひとにわけをからんものを売るのはよい商売なのだ。

昔は「読み書きそろばん」が商人の基本だったのだが、最近は数学が苦手な人が文系に進んで銀行に行くのだ。人には得手不得手があり、決して全知全能ではない。そうであるならば、そうしたビジネスマンが微分の基礎、正規分布とは何かからデリバティブを学ぶのは時間のロスになるであろう。第一、株式市場の値動き幅は正規分布には従わないではないか。

値を入れれば結果は出てくる。しかし、使われている仕組みが正規分布を使っていることを知っており、そのモデル限界性については理解があることが重要だ。

情報を多く持ち、理解していることは既に、美点ではなくなっている。対象を理解する上で些細な部分に影響されないこと、いかに要点を迅速に押さえるか、つまりモデル化された理解の重要性をもっと強調すべきだ。