男子三日会わずば

前に関わっていた会社を久しぶりに見るとたいていの場合、あいかわらず、同じ様なことを連綿と行っているだけなのだが、たまにいくつかの進捗をみてうれしくなることがある。

アメリカの会社の中では珍しくVCの投資を受けずに、「マーケティングGIS」というニッチなエリアで活躍しているタクティシャンのCEOは、かつてWeb向けのサービスを行うのでファイナンスするかもしれないと言っていたのだが、そのまま、音沙汰もなくすぎてしまっていた。約二年ぶりにサイトを見たら、Web向けのサービスは、とりあえず始まっていた。めでたいことである。ビジネス性はともかく、とりあえず登録して、無料で使える機能をいじってみていると結構勉強になる。たとえば、以下は、このサイトで生成したボストン周辺の地域別平均収入の地図である。色が濃いほど収入が高い。

www.mapscape.comより

左が収入右が犯罪危険度

いわゆる都市理論で言うところのスプロール現象が如実に現れている。この規模の都市では中心地域は、環境が悪く都市の開発過程でスラムかが進むために低所得者が住む地域となる。また、ボストンを知っているひとは、犯罪発生地域をみると、なるほどと思うだろう。明らかに人種的な偏りがある地域だ。

私がかつて住んでいた郊外の町でもこの法則は如実に現れる。

www.mapscape.comより

左が収入右が犯罪危険度色が濃いほど高い。

ひるがえって東京は世界でもまれな中心地域に高所得者層が住む都市である。これは、中心部の旧大名屋敷跡に、細分開発を免れ、緑豊かな一部地域が残され、周辺にそのイメージを引きずった地域を形成していることと、都市がばかでかく交通も整備されていないために「環境の良い郊外」があまりに不便なためであろう。

しかし、このところの都心回帰ブームは、長期的にこの流れを逆転させる要素を隠し持つと思われる。現在、都心に中流階級が購入しているマンションの床面積は60−70平米である。これは、以前「きょうのひとこと」に記述したように二十年後の容積率充足率のから考えると極めて低い水準だ。たぶん、二十年後にはそうしたマンションはスラム化しているものと思われる。特に、ペンシルビルなど細分開発が進み、周辺環境に見るべきものがない地域での進展は早いであろう。これはエントロピー増大の法則である。いったん細分開発がなされてしまうと、魅力的な街区単位での再開発は困難かつ高コストになってしまう。日本ではバブルの時に、再開発コストを上回る地価の高騰を見せたものの結局、この普遍的な法則は都市中央にも波及してくるのであろう。

地方で始まっている商店街の空洞化も、世界的に見れば普遍的な現象なのである。