オブチさん

夢を見た。夢には親しいヒトが現れたのだが、親しみが感じられなかった。親しみを感じるはずなのに親しみを感じないのは変だという感覚が強く印象に残った。目覚めてみるとそれが、誰だったのかは思い出せない。

これは、親しいヒトを見たのに親しみを感じられない夢だったのか、親しみを感じないヒトを親しいと誤認した夢だったのか、親しみを感じられないのが誰なのか分からない夢だったのか。ええいっ、どうでも良いけど、半覚醒状態の時に、断片的に機能する脳の活動がこうした現象をもたらすのだろう。はじめの説に従えば、相手を認識して、自分との社会的関係を認識する部分と、ハートつまり心として親しさを感じる部分は別なのだろう。あるいは、わたしのその部分は眠りやすいのか。

また、夢遊病患者の研究によれば、脳の前頭葉の活動が低下している状態では外部からの指示に無条件に反応する状態が現れるという。視覚、言語認識、行動の統率はされているが意志のない状態である。

わたしの父も、かつて脳溢血になったことがある。また、アルツハイマー病にみられるタウ蛋白の蓄積は脳の神経細胞を死滅させる。脳細胞の部分的な機能欠落、それは、「私」という観察点から見た場合、半覚醒時に経験する世界あるいは、幼児の頃みた、論理のない不思議な世界のようなものか。逆に言えば、より知的にすぐれた生命体から見たら、われわれは、寝ぼけたような行動をとっているということか。

切り取られた灰色の脳切片。はたして、わたしの脳の右から何センチの位置に、親しみの認識は存在していたのだろう。