栄枯盛衰

以前King氏と話していた際に「最近は、起業家よりベンチャーキャピタリストの方がおおいねぇ」とおっしゃっておられた。わたしがこのビジネスに移ったときは、キャリアパスとしてもマイナーだったのに、隔世の感である。実際ここ半年は会社をスタートさせるには絶好の機会である。

ファンドの面から見てもソフトバンクファイナンスがファンドを集めたときが、マーシャルKの面から見てもあぶく銭の最盛期で、全く知られていなかったベンチャーキャピタルが認知され、あっという間に方々で100億単位のファンドが集まっていった。

本来ベンチャー企業はリスクの高いビジネスで、北米の統計では、ベンチャーキャピタルが投資する一定水準の企業であっても、十社に一社が公開し、一社が倒産、あとは鳴かず飛ばずなのが普通だ。そこで、成功率を上げるため、ベンチャーキャピタリストは経営者がカネを無駄に使わないように監視したり、売却先を見つけたり、すぐれた人材を捜してきたりする。会社と経営は分離されているから、目標を達成できなかった経営者はクビになるし、会社の成長ステージによって、社長も入れ替わる。スタートアップに向いている人と、公開企業の会社に向いている人はえてして異なるから、創業者が公開時の社長でないことが多い。かなり厳しいビジネスなのだ。

わたしが、このビジネスに移ったときに、

「リスクマネーの欠如。開発などに必要な資金が、プランの段階で集まらないこと」

日本企業は成長スピードが遅い。これは、事業利益の再投下をベースにしているため。融資も、担保を必要とするために、成長の加速には寄与しない。成長スピードの高い会社は、資本負担の少ない人数比例な会社。単純な販売、人材派遣に近い業態。

「経営分離の不存在。会社が私物化されていて、企業所有をとおした経営関与がなされないこと」

ワンマン経営と会社の私物化。経営者のスイッチが効かない。

「人材。プランの詰めと執行を行う、優秀な人材がないこと。経営ノウハウと技術ノウハウが分離されていること」

の三つが日本のITベンチャーの問題点であると考えていた。このうちようやくリスクマネーのようなものは集まるようになってきたわけだ。他の点に関しては、やはり変化には時間がかかるようだ。公開企業をみても、私物化された企業が多く、ベンチャーには、人材、プランのあまさが残る。また、せっかく公開で集めた資金で、「土地、ビル(これら固定資産の利回りは5%)」を買ったり、単に預金しておくと言った資産効率があまりに低い会社が多い。

マーシャルKは以前として高い水準にある。しかし、Q1終わりから、低下を開始している。リスクマネーと見えたものは、実は、過剰流動性であり、濡れ手に粟を指向したに過ぎない。公開銘柄が増えるにつれ、未公開段階での投資の十倍が期待される公開時での売却に見合うマネーが市場に流入するかは不透明だ。もうしばらくは早い者勝ち状態が続くが、早々に、目新しさは失われるだろう。はたして、日本に真のITベンチャーは現れるだろうか。