てれび

ここ数年ずっとテレビを買おうと思っている。たぶん家の中で最も重要な電化製品である私のテレビは十六年も昔に買ったものだ。自宅に帰ったときになんとなく習慣でテレビを付けるのだが、そのためには、

  1. リモコンのないテレビのメインスイッチを入れ
  2. テレビのビデオ入力ボタンを押し
  3. ビデオのスイッチを入れ
  4. ステレオの電源をオンにし
  5. ステレオのサウンド入力をビデオにし
  6. ブラウン管が暖まるのをしばらく待たなければならない。

不便だ。なお悪いことにテレビの画面には「ビデオ」とグリーンの文字が出たまま消えることはない。びでおじゃなくてれびなのに。もちろん画面に焼き付けもおこしている。

実際、いよいよ買い換えようと言う気持ちを決定づけたのは、たまたま母親が来たときに「おまえ、このテレビ色がおかしいぞ」と言われたときだ。ガーン、私の脳は、画面で見えている文字が気にならないような図形処理を行った上に、色調補正まで行っていたのか。

そもそも、この母親は、最近生活にゆとりが出来たとかいって、ハイビジョンテレビTH-36FH10を買ったのだ。しかも、ハイビジョンでやっている大河ドラマをNTSCのふつーの放送で見てるのだ。こんな明らかに電気屋のおやじにだまされたような実家よりローテクだったなんて。

しかし、意を決して秋葉原に足を運んでみるものの、買えないんです。買うからには最新鋭のテレビが欲しい。

最新鋭、えーっと、D3端子はいるな。でも、D4端子のテレビも出始めてるし、デジタルBSは欲しいが、地上波のEPGとメニューが統合されてる方がいいな。いや、やはり平面テレビでしょう。PDPか。PDPは、消費電力とコントラストがなーやっぱFEDかな。そういえば発表されてた新しい蛍光物質が使ってんのかなー。そーか、まだ、でてないか。それじゃ買えないナー。

先端とはさきっちょのこと。「最新鋭」のテレビとはうたかたのようなもの。

結局、今も理想のテレビを買うべき私は「ビデオ」と焼き付いた画面を見続けている。ふとIT革命という言葉が脳裏をよぎった。えっ?人生ってそんなもん?