軒を貸して母屋を取られる

 

au から、秋の新機種が発表された。

着うたフルという、楽曲ダウンロードサービスがサービスの目玉であるが、個人的にはW21SAと、Bluetoothアダプターで動作しなかったハンズフリーヘッドセットのカタキをとるためにW21Tに当然買い換える予定である。

正直、ゼニ投げである。

auの端末は、WINの夏機種以降は、Qualcomm MSM6500 チップセットを採用している。このチップセットは、リンクをたどって詳細を見れば明らかなように、かなり多機能であり、Bluetoothもチップセットで標準対応している。つまり、東芝のみがBluetooth対応しているということは、日本国内ではハンズフリーヘッドセットやBluetoothを用いた通信需要があまりないと言うことなのだろう。

ところで、Qualcommの携帯のチップセットビジネスは、ここに来てauのビジネス拡大を支える要因になってきている。よく言われるのはFOMAの端末開発費に比べ、Qualcommのチップセットを用いた端末開発費は1/3程度で済むということである。このため、第三世代間で比べた場合同程度の機能であればauは安価に端末投入が出来る。また、同程度の価格であれば、付加価値をつけて投入することが出来ようになっている。理由は簡単でQualcommのチップは、よりアプリケーションレベルに近い標準機能をパッケージとして提供しているためである。比較の為に、FOMA系で使われるTIのOMAPの機能説明を見ると良いだろう。OMAPは、DSPによる開発基盤であり、あくまでもその上で端末メーカー自身が好みの機能を開発しやすく設計されているのにたいして、Qualcommの場合は、用途、地域に応じたベースチップセットに基本機能が集約されているという商品体系である。

戦略上の危機感を感じたDoCoMoはは、昨年の末頃から、

 TIに対する統合チップセット開発補助

 ルネサンステクノロジーに対するSHベースのGSM対応した統合チップセット開発補助

を行い、直近では、なんと、Qualcommとの共同開発にまで着手をしている。auがW−CDMAの欧州展開まで見据えているとはいえ、なりふり構わぬばらまき戦略である。

しかし、携帯を起点とした多様なサービスは日本発のものが多いのに、端末機能の中枢であるチップセットは海外メーカーに抑えられているとは皮肉な結末であろう。

 

DRAM戦争に目を奪われてCPUビジネスをIntelに持ってゆかれ、そのDRAM自身もアジア勢の後塵を拝する結末となった日本メーカーであるが、携帯端末に関しても、主要機能のASICに関しては自前開発にこだわって、基幹パーツのサプライヤーが国内に育たなかった。結局Qualcommの成功を目の当たりにしてようやくルネサンスやNECも統合チップセットの開発に乗り出したわけであるが出遅れの感は否めない。

さて、多機能化にひた走る日本の携帯サービスは、2005年度からは、MPEG4/AVC,H264をベースにしたデジタル放送との融合サービスの方向に突き進むはずである。ルネサンステクノロジーを初めとした日本勢は、動画サービスを統合した端末/チップセットの開発に躍起である。

来年には携帯電話は、通信業界の夢、放送との融合を果たすのであろうか?その時、国内勢ははたしてリベンジを果たせるのであろうか?