仏掌その後

”「最果ての地までADSLを普及させた証に、この印に小便をひっかけてやろう」

と思ってみたら、それはNTTの電信柱だった。”

当時チョットしたインサイダー情報もからめて”仏掌”を書いていたら、題材の会社は早すぎた投資の重荷に耐えきれず、その通りに破綻して、そのまま某社に吸収されてしまった。しかし、その呪いを引き継いだのだろうか。某社は怪進撃を続けている。

今年最大のニュースの一つに、うちの母親が電子メールを送ってくるようになったというものがあるが、これに象徴されるように、今年はインターネットのユーザー層に明らかな変化があったのだ。Yahoo BBの加入者動向を分析しても、去年の後半から今年の前半にかけては、

であったのに対して、今年の後半は

へと変化している。月次で15万人を超える申し込みの中で、2/3がこうした人たちなのだ。さらに、既存のWeb申し込みへの誘導効果もなく、まだ利用していないひとに対する対面申込窓口も用意せずにテレビ広告を展開した競合のADSLプロバイダーの無能ぶりにも助けられているのだ。

もともと、Yahoo BBのモデルは、AOLのモデルに近いもので、サポート出来るキャパシテイーを超えて顧客勧誘を行うこと。加入するとコンテンツとか、差別化された要素がありそうに告知することなど。いわゆるコンシューマーに対しては、この戦略は正しい。山ほどのクレームは来るだろうし、チョットした信頼感の低下はあろうが、スイッチングコストの大きさを考えれば獲得したものがちなのだ。また、インセンティブをつけた店頭勧誘も、顧客数の獲得に関しては実に効果的に働く。これも、過去、光通信の成長が実証している戦略である。ただ、Yahoo BBは、その戦略の結末に関してもこれらの会社と共有しなければならない。そして、最大の違いは、今では、赤字基調では高い成長率を株式市場を通じて資金に変換するメカニズムが動かなくなっていることだ。はたして、一人あたり2万円と言われている顧客獲得コストを払って、資金が尽きる前に事業自身を黒字に転換できるのであろうか?

今後、ブロードバンドに載せるとうたわれているコンテンツビジネスは、未だにWowow,スカパーが、黒字転換に苦しんでいる。利益を上げているのは、アナデジ転換で補助金までもらう地上波を抱えるテレビ局位だ。

私見だが、Yahoo BBの顧客獲得コストはもっと上昇する。市場に対してアナウンスしたい獲得顧客の数にこだわれば、数値的なニギリに近い不正行為も現れるかもしれない。しかし、獲得ユーザーではトップに立つだろう。来春、景気回復により、株式市場が上昇局面に転じれば、ソフトバンクはそれに必要な資金を確保してYahoo BB事業を成功させることが出来るだろう。しかし、結局は、無理な顧客獲得は、ビジネスの黒字化を難しくする。

果たして、引き継がれた遺伝子は、着地点においてうまく自制することが出来るのであろうか?