金融だこ

ベンチャーキャピタル業界に移ってからはや五年弱がたとうとしている。その前はといえば、マッドエンジニアとして昼前にだらだらと出社し真夜中すぎに帰る正しい開発ライフを送っており服装もカジュアルが主体であった。というか、私の背広姿をみると幸せになれるという風評すらあった。けして自分が幸せになることはなかったのだが。

そんななか、金融に”社会復帰”したとき、チョー久しぶりに毎日背広と革靴で出社する生活にもどった。するとどうだろう、程なくして足の裏に魚の目が出来た。初めは靴ずれだろうと思ったが、靴を代えても直ることはなかった。それまで足に魚の目が出来ることはなかったので驚いたものだ。

その魚の目は、それとはなしに私を罰するようであり、諭すようであり、あるいは私の技術者魂が足に逃れて凝り固まったものであったのかもしれない。それをわたしは呼ぶともなく”金融だこ”とよんだのだ。

金融だこを除去しようとする私の試みはことごとく失敗した。魚の目バンも柔らかな靴の中敷きもそれを取り去ることはできなかった。とれるかと思えば、再発し、時には痛みを伴い、あるいは共存を促すように。

それから五年弱。転機は突然訪れた。それは、徐々にであるが消え去っていった。私が技術者ダマシーを取り戻したのか、違う。心を入れ替えたのか、オーノー!

 

正しく原因に向き合い、それを除去したにすぎない。魚の目はやはり、刺激の増幅効果によって発生する。単に、市販の”コーンカッター”をつかって、角質の斑がないように均質に芯を除去し、あつい部分を修正したのだ。

魚の目は芯の成長刺激以外にも足の裏の皮に柔らかい部分と堅い部分が混在した場合、境界に集中する応力によっても皮膚の刺激が増幅され新たな芯が形成されるようだ。堅くなった部分をこまめに均質化することによりやく2週間で魚の目は消えていった。気まぐれに行われる除去施術では不均質は収束しなかったのだ。正しく原因に向けられた対処と継続は金融だこを除去せしめた。

 

除去した。正しく、とりさっちゃったんだよ。でも涙が出るのはなぜだろう.......うそぴょーん。