ボルツマン経済

日銀統計をみていると、直近二月からマネーサプライの上昇率が目に見えて上がっている。経済成長率は鈍化しているから、当然ながらマージナルマーシャルKは、再び春の上昇を示すのであろう。つまるところ、ミニバブルである。

しかし、この十年来というもの、景気対策と金融緩和をしては、ミニバブルが来て、その後、不景気に逆戻りするというパターンを繰り返している。政府には学習能力がないのか。

前にも書いたが、自由経済の神の手とは、詰まるところボルツマン計算課程だ。

最適な状態への遷移を、既知の手法で知ることが出来ないとき、とりあえず無駄に思えることを許してみる。上の図でいうと、赤いマルは、そのままでは右に行っても左に行ってもより不安定な状態になるばかりだ。しかし、一旦、線で示されたポテンシャル障壁を越えるだけのエネルギーを与えてやるとより安定した右下の状態に移ることが出来る。このとき、より多くのムダを許す状態を「温度が高い」という。温度が高いとき、より、ドラスティックな遷移が可能になる。

しかしながら、温度を高いままにしておくと系全体としては安定な状態にはならない。逆方向の不合理な動きも許されるからだ。そこで、系全体を最適な状態にするためには一旦上げた温度を徐々に冷やしていかなければならない。焼き鈍しと言われる方法だ。これにより、飛び越えられるポテンシャル障壁は徐々に制限され、系全体としては以前より安定した状態となっていくのだ。

つまるところ、一定期間の緩和(高温状態)の後には、徐々に引き締めを行って、非効率な方向に動いてしまった部分や非効率や部分を淘汰してしまわないと全体のボルツマン計算課程は最適な方向に向かわないのだ。

さて、この観点から日本の経済金融政策を見るといくつかの問題が明らかになる

去年の春先に、日本経済は、過去のバブル景気の時期を含め、二十年以上にわたってROAを落とし続けてきたと書いた。構造改革とは、この落ち続けたROAを上昇させることであり、先行モデル模倣型から、リスク許容型の経済システムへ変貌していくことだ。

数ヶ月も持たず0金利政策に戻してしまった日銀と政府は、この先ホントの意味での改革を行えるのだろうか。